平成17年度秋季研究発表会

作成: 2005/08/25
最終更新: 2005/09/20
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日本音楽知覚認知学会2005年度秋季研究発表会プログラム(詳細版)
  2005年10月15日(土)、16日(日)
  於: 京都女子大学 (世話役: 荒川恵子先生)
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■ 講演:30分(発表20分+質疑応答8分+入れ替え2分)
■ ○印は発表者,◎印は研究選奨受賞の有資格者を表す.

10月15日(土) 

<12:30 - 14:00>  座長:三浦雅展

[1] 12:30 ~ 13:00
  ○山崎晃男(大阪樟蔭女子大学)

  異なる表現形式を介しての感情伝達(2)

  前回の研究発表会では、感情を表現した線画を見て感じたことをドラムの即興演奏によって表現する
  という演奏実験の結果について発表した。今回は、その演奏実験で得られた演奏に対する聴取実験の
  結果について報告する。

[2] 13:00 ~ 13:30 
  ○星野悦子(上野学園大学音楽・文化学部)

  楽曲の感情的性格と聴き手に生じる感情(2):音楽専攻生と音楽を専攻しない学生の比較

  音楽聴取によってその楽曲に表現された特定情緒を知覚することと聴き手の内部に喚起された情緒と
  は、概念的のみならず実証的にも区別され得るのであろうか。教示の違いによって上述の2群をつくり、
  楽節ごとに聴取させて感情カテゴリーから該当情緒を選択させた。今回は音楽専攻生と音楽を専攻し
  ていない学生による選択結果を比較検討する。

[3] 13:30 ~ 14:00 
  ◎豊島久美子(大阪大学大学院)、桑野園子(大阪大学)、福井 一(奈良教育大学)

  音楽的情動とリズムおよび音色

  本研究の目的は、リズムと音色が情動(嗜好)に与える影響を明らかにすることである。実験では、聴
  取者の嗜好によって選出した打楽器音、及びリズム(パターン)に対する、嗜好及び覚醒度を調べた。


<14:15 - 18:00> <音楽と感情シンポジウム>

[S1] 14:15 ~ 17:15 座長:大串健吾
  <音楽と感情シンポジウム第1部>
  Sloboda, J. A. & Juslin, P. N., Eds, Music and Emotion 
    (Oxford Univ. Press, New York, 2001) の報告
  報告者:
      荒川恵子(京都女子大)、山田真司(金沢工大)、佐藤正之(三重聖十字病院/三重大)、
      山崎晃男(大阪樟蔭女子大)、星野悦子(上野学園大)、大串健吾(京都市芸大)、
      永岡都(昭和女子大)、山下薫子(静岡大)、松井淑恵(京都市芸大)、古賀弘之(広島大)、
      小川容子(鳥取大)

[S2] 17:30 ~ 18:00
  <音楽と感情シンポジウム第2部>
  パネルディスカッション:「音楽と感情研究の課題と今後の展望」
  司会:山田真司(金沢工大)
  パネリスト:星野悦子(上野学園大)、谷口高士(大阪学院大)、
        山崎晃男(大阪樟蔭女子大)、津崎実(京都市芸大)


     18:00 ~ 18:15  選奨表彰式 
     18:15 ~ 20:00  懇親会 (学内:講演棟と同じ建物)


10月16日(日)

<9:30 - 11:30>  座長:菅野禎盛

[4] 9:30 ~ 10:00
  ○杉山 正治(大谷大学文学部人文情報学科)

  17音平均律を用いた音楽の試み ~17音ウエルテンペラメントによる改良~

  1オクターブを17分割した17音律について研究している。これまでに17音平均律による作曲,MIDI鍵盤
  等を試作したが、完全3度が純正音程とかけ離れている問題が指摘されていた。この改善策として17音
  ウエルテンペラメントを提案し、その有効性を示す。

[5] 10:00 ~ 10:30
  ○長嶋洋一(静岡文化芸術大学) 

  作品系コンテンツのための自動作曲システムに向けて(3)

  ショートムービーやフラッシュなど、作品系コンテンツを制作する際に活用する背景音楽(BGM)パートを、
  お手軽に「使える音楽データ」として自動生成するシステムの開発に向けて、中核の自動作曲アルゴリ
  ズムについて考察した。

[6] 10:30 ~ 11:00
  ◎有田元則(九州大・芸工)、蘇勛(九州大・芸工)、川上央(日本大・芸)、
    上田麻理(九州大・芸工)、岩宮眞一郎(九州大・芸工)

  映像の切り替わり方向と効果音の音高変化方向の調和

  音と映像の調和感には様々な要因が考えられるが、本論文では音の高さの変化方向(上昇、下降)と映像
  の切り替わり方向(上下、左右方向など)の調和に着目し印象評定実験を行なった。さらにはその調和感
  が被験者の音楽経験、文化的背景に影響を受けているか、また実験方法の違い(絶対判断、相対判断)か
  らも考察する。

[7] 11:00 ~ 11:30
  ◎前川博志(同志社大学工学部)、江村伯夫(同志社大学工学部)、
    三浦雅展(龍谷大学理工学部)、柳田益造(同志社大学工学部)

  楽譜情報に基づいた吹奏楽フルスコアのフレーズ分割

  現在、日本には数多くのアマチュア吹奏楽団が存在しているが,その中には一般的な吹奏楽の編成に満た
  ない規模の吹奏楽団があり,そのような楽団は、一般的な編成を対象として作曲されたブラスバンド用の
  楽曲をそのまま用いると、満足な演奏ができない。そこで編曲作業が必要となるが、アマチュア音楽家に
  とってその作業は大きな負担となる.本稿では,このような場面で必要となる大編成から小編成への編曲
  作業を自動で行うシステムの構築を目指し、その中でもフレーズ分割を行う手法について検討している。


<12:30 - 14:30>  座長:荒川恵子

[8] 12:30 ~ 13:00
  ◎小林豊(東京工業大学大学院総合理工学研究科)、
   三宅美博(東京工業大学大学院総合理工学研究科)

  共同演奏における階層的コミュニケーションの解析

  本研究では2人の人間の音楽コミュニケーション機構を調べるために、協調演奏を具体的な題材として統
  計・時系列解析を試みた。その結果、相互作用における短周期、長周期という時間スケールでも階層性が
  示唆され、それを有するコミュニケーションにおける創出的な振る舞いが抽出された。

[9] 13:00 ~ 13:30
  ◎古屋晋一(大阪大学大学院医学系研究科)、木下 博(大阪大学大学院医学系研究科)

  熟練ピアニストによる音量調節に関わる打鍵運動制御

  ピアノ演奏において、音量調節は多彩な音楽表現を行う上で不可欠な技術である。本研究は、9名のピア
  ニストがppからffまでの5段階の音量でオクターブ打鍵を行う際の上肢関節運動および筋活動を測定し、
  音量調節に関わる打鍵運動制御について調べた。

[10] 13:30 ~ 14:00 
  ○金子 弘美(日本大学大学院)、野口 薫(日本大学大学院)

  視覚と聴覚の通様相性に関する線描画による実験

  ごくシンプルな音列を刺激として提示し、線描画で反応するように求めた。実験参加者の描いた線描
  画の形状は非常に類似した形状をもち、反応には一定の法則が見られた。この結果は、聴覚と視覚に
  通様相的傾向があることを示している。

[11] 14:00 ~ 14:30
  ○難波精一郎、宮嶋訓生、桑野園子(大阪大学)

  時間差のあるパルス列のリズム感(2)―時間差の手掛かりと音色の影響

  2つの音列が時間差をもって重複すると、時間差の大きさが拍節リズムのアクセントとして働く。アクセ
  ントとしての時間差に影響する諸要因について実験的に検討する。