2004年(平成16年)春季研究発表会
発表プログラム(要旨付)
作成: 2004/04/26
最終更新: 2004/04/26
最終更新: 2004/04/26
- 日時: 2004年 5月29日(土) 13:00~17:50、 30日(日) 9:30~15:45
- 場所: 大阪樟蔭女子大学 関屋キャンパス
- 懇親会: 5月29日(土)時間:18:00~20:00 場所:キャンパス内生協食堂
- 時間配分(合計 30 分):発表時間 20 分、質疑応答 8 分、交代 2 分
- ◎印がついているのは、学会選奨対象者です。
5月29日(土) 13:00~17:50 | |||
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時間 | 発表タイトル | 著者 | 要旨 |
13:00 | 座長: 吉野 巌 (13:00-15:00) | ||
13:00 ↓ 13:30 |
子どものピアノ演奏におけるフレーズ表現の獲得について How do Children Acquire the Expression of Phrases? |
○村上康子(東京芸術大学大学院) Yasuko MURAKAMI(Doctor course student at Tokyo National University of Fine Arts and Music) |
自分の音楽的解釈を表現するために,楽曲構造を認識している必要があること,そしてそれを演奏表現するための奏法があることが先行研究によって明らかにさ れている。本発表では,フレーズ終結部の焦点を当て子どもがどのようにその表現方法を獲得していくのか事例分析を通して考察する。 |
13:30 ↓ 14:00 |
音楽解釈研究のための演奏deviationデータベースの作成 Databese of Performance Deviation |
◎ 豊田健一(関西学院大),野池賢二(さきがけ研究21),片寄晴弘(関西学院大/さきがけ研究21) Ken’ichi Toyoda(Kwansei Gakuin University), Kenzi Noike(PRESTO, JST), Haruhiro Katayose(Kwansei Gakuin University, PRESTO, JST) |
音楽学の基礎的研究,演奏生成システム等の実学的研究において演奏表情の deviation データベースにかけられる期待は大きい.本発表では,演奏表情データベースの効率的な作成法の概要と公開方法について紹介する. |
14:00 ↓ 14:30 |
音楽の繰り返し聴取における楽曲の複雑性と感情の変化 -フュージョンとイージーリスニングの比較- The change of feeling with musical complexity in repeated exposure of music; Comparison of fusion and easy listening. |
◎荷方邦夫(金沢美術工芸大学) 内藤裕子(山之内製薬) 池上貴美子(金沢大学教育学部) Kunio NIKATA(Kanazawa College of Art) Yuko NAITO(Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd) Kimiko IKEGAMI(Faculty of Education, Kanazawa University.) |
本研究では楽曲の複雑性が感情に与える変化を検討するため、フュージョンとイージーリスニングを用いた繰り返し聴取を実施した。複雑性の異なりに伴う快さの変化は、先行する研究に比較的近い結果が得られ、従来指摘されていた最適複雑性モデルを支持する結果となった。 |
14:30 ↓ 15:00 |
音楽熟達者にみられるフラットシンギング–声,ピアノ音,純音を比較して— Flat pitch production by accurate singers |
○小川容子(鳥取大学),村尾忠廣(愛知教育大学),新山王政和(愛知教育大学) Yoko Ogawa, Tadahiro Murao, Masakazu Shinzanou |
本研究は,音楽熟達者のフラットシンギング(わずかにピッチが下がる歌唱)の様相を提示音の違いに着目して比較検討したものである。ビブラートなしの女性 のボーカル音,ピアノ音,純音による2音(22対)を刺激音として提示し,被験者に対して声による再生を課題とした。CSLによる分析結果から,純音及び ピアノ音に対して有意に低く(フラット)発声すること,一方,ボーカル音に対してはやや高めに発声することが明らかになった。 |
休憩 | |||
15:15 | 座長: 菅野 禎盛 (15:15-17:15) | ||
15:15 ↓ 15:45 |
スペクトル包絡の変化による音色印象評価への影響 The effect of spectrum envelope pattern to impression evaluation. |
◎三戸 勇気(日本大学大学院芸術学研究科)、川上 央(日本大学芸術学部)、大蔵 康義(日本大学芸術学部) Yuki Mito(Graduate School of Art,Nihon University), Hiroshi Kawakami(College of Art,Nihon University),Yasuyoshi Okura((College of Art,Nihon University) |
スペクトルは音色によりそれぞれ異なった包絡を持ち、そのスペクトル包絡の変化が、音色の印象に影響を与えている。今回、スペクトルを低次倍音と高次倍音 とに分けて、包絡の割合を変化させて合成した。その音色の印象をSD法により検討した。その結果、同一の複合音であっても、それぞれのスペクトルの包絡変 化により印象が異なることが明らかになった。 |
15:45 ↓ 16:15 |
和音進行中に含まれるShepard’s toneによる和音に対する転回型の知覚 Perception for inversion types of a single chord producted by the Shepard’s tone |
◎江村 伯夫(同志社大・工),三浦 雅展(龍谷大・理工),柳田 益造(同志社大・工) Norio EMURA(Department of Knowledge Engineering, Doshisha University, Japan) Masanobu MIURA(Department of Media Informatics, Ryukoku University, Japan) Masuzo YANAGIDA(Department of Knowledge Engineering, Doshisha University, Japan) |
Shepard Toneで構成される和音は,固定された周波数スペクトルの中に構成音それぞれが1octave間隔で並ぶため,全ての転回形を含む.本研究で は,Shepard Toneで構成される和音を含む和音進行を用い,人間が知覚する転回形が「和声法」に基づいたものであるかを実験的に検証している. |
16:15 ↓ 16:45 |
調内音としての適合性評価と機能和声に基づく重み付けによる調・旋法の判定 Key and mode judgement based on weighting by on-scale feasibility and functional harmony |
◎江村 伯夫(同志社大・工),三浦 雅展(龍谷大・理工),柳田 益造(同志社大・工) Norio EMURA(Department of Knowledge Engineering, Doshisha University, Japan) Masanobu MIURA(Department of Media Informatics, Ryukoku University, Japan) Masuzo YANAGIDA(Department of Knowledge Engineering, Doshisha University, Japan) |
旋律から自動的に調・旋法の情報を得ることは、旋律に対する自動和音付与システムの構築を行う際などに非常に有用となる.本研究では旋律から自動的に調・ 旋法を判定するシステムを構築することを目的とし,判定の手法として,調内音としての適合性と機能和声に基づく重み付けを併用した判定を行っている. |
16:45 ↓ 17:15 |
マルチチャンネルステレオ収音方式の考察 Microphones array for Multi-channel stereo recording |
○亀川徹(東京芸術大学音楽環境創造科) Toru Kamekawa Tokyo National(University of fine Arts and Music) |
マルチチャンネルステレオ方式によってコンサートホールなどの音場を最適に収音する場合の、L(左)、R(右)、C(中央)の3本のマイクロホンの位置や指向性によって再生される音場の違いを、定位感の再現に着目して比較し、最適なマイクロホン配置を推測した。 |
17:15 ↓ 17:50 |
総会 | ||
18:00 ↓ 20:00 |
懇親会(於:キャンパス内生協食堂) | ||
5月30日(日) 9:30~15:45 | |||
時間 | 発表タイトル | 著者 | 要旨 |
09:30 | 座長: 山田 真司 (9:30-11:30) | ||
09:30 ↓ 10:00 |
視聴覚刺激に対する同期タッピング課題におけるクロスモーダルな誘引効果 Crossmodal attraction in a synchronous tapping to audio-visual stimuli. |
◎菅野禎盛 (九州産業大学経営学部) Yoshimori SUGANO (Faculty of Management, Kyushu Sangyo University) |
SOAを操作した視聴覚刺激に対する同期タッピング課題により、視聴覚間の誘引効果について検討した。視覚、聴覚ともに妨害刺激による誘引効果が認められたものの、聴覚から視覚への影響がその逆よりも大きかった。 |
10:00 ↓ 10:30 |
テレビ番組におけるテロップパターンと効果音の構造的調和 Structural Congruency between Telop Character Pattern snd Sound Effects |
◎金基弘,岩宮眞一郎,高田正幸(九州大学) KiHong Kim, Masayuki TAKADA, and Shin-ichiro Iwamiya (Kyushu University) |
テレビなどで用いられているテロップにおいて,どの様なテロップと効果音の組み合わせが主観的調和感をもたらすのかを印象評定実験によって検討し,映像の動きと音の変化パターンの構造的な調和の影響を明らかにした。 |
10:30 ↓ 11:00 |
スタッカート、レガート表現が映像作品の印象に与える影響 Effects of Staccato and Legato on Perception of Audiovisual Content |
○吉川景子(九州芸術工科大学),岩宮眞一郎,山内勝也(九州大学) Keiko Yoshikawa (Kyushu Institute of Design), Shin-ichiro Iwamiya, and Katsuya YAMAUCHI (Kyusyu University) |
本研究では,音楽の諸要素の1つである1音の長さの違いが映像作品の印象に与える影響について検討することを目的とした。1音の長さという要素は,音楽の印象に強く影響を与え,そして映像作品の印象にも影響を与えた。 |
11:00 ↓ 11:30 |
視覚的運動と音の同期判断 ――運動位置の変化および運動開始時の手掛りの影響―― Effects of different locations of visual motion and the cues for the starting point on the synchronous judgements between vision and hearing. |
◎若生 秀, 林 勇気(宝塚造形芸術大学), 難波精一郎(大阪大学名誉教授) Shu WAKO(Kyoto University), Yuki HAYASHI(Takarazuka University of Art and Design), Seiichiro NAMBA(Emeritus Prof., Osaka University) |
視聴覚同期の解明とマルチメディア応用にとって重要である、視覚的運動と音の同期に関する一連の実験を発展させた。視覚運動の位置が一定でない場合も従前と同様な同期判断が得られた。また運動開始時における手掛りが同期判断に与える影響を調べた。 |
休憩 | |||
12:30 | 座長: 小川 容子(12:30-14:00) | ||
12:30 ↓ 13:00 |
音楽の聴取と歌唱が幼児の描画に対する動機付けに与える影響 Music and childern’s interest and the quality of drawings: Comparison of singing and music listening |
◎田本早知子,中田隆行(長崎純心大学) Sachiko Tamoto(Graduate Course in Humanistic Studies Specialized Research into Humanistic Studies, Nagasaki Junshin Catholic University), Takayuki Nakata(Department of Child Studies) |
幼児を4つのグループに分け、覚醒レベルの異なる3種類の音楽の聴取と歌唱をそれぞれおこなわせた後、描画課題を与えたところ、歌唱を行った場合に描画時 間が最も長くなるという結果が得られた。また大学生による絵の内容の評定においても歌唱を行ったグループの描画内容が向上した。 |
13:00 ↓ 13:30 |
音楽を聴いて何を認知するのか:音楽鑑賞時の自由記述の分類を通して What we perceive when listening to music? |
◎吉野 巌(北海道教育大学札幌校) YOSHINO, Iwao (Hokkaido University of Education Sapporo) |
本研究は、聞き手が音楽鑑賞中に楽曲のどのような音響的・構造的特徴に注意を向けるかを自由記述によって調べた。その記述内容を分類し整理することを通して、音楽知覚認知の多義性や意味などについて考察する。 |
13:30 ↓ 14:00 |
気分と同質・異質の音楽聴取に伴う気分変化の分析 Effects of iso or non-iso music on moods |
◎古賀弘之(広島大学大学院教育学研究科) Hiroyuki Koga / Graduate Scool of Education Hiroshima University |
被験者の気分をポジティブもしくはネガティブに誘導し,それぞれに対しポジティブもしくはネガティブな印象の音楽を提示した.その結果,ポジティブな気分 の被験者は,ポジティブな印象の音楽を聴取するとポジティブな気分が高く,ネガティブな印象の音楽を聴取するとネガティブな気分が高いことが示された. |
休憩 | |||
14:15 | 座長: 三浦 雅展(14:15-15:45) | ||
14:15 ↓ 14:45 |
音楽聴取による記憶想起に関する研究 Research on the memory retrieval by music listening |
○田部井 賢一(日本大学大学院芸術学研究科)、川上央(日本大学芸術学部)、大蔵康義(日本大学大学院芸術学研究科) Kenichi Tabei (Graduate School of Art, Nihon University), Hiroshi Kawakami (College of Art, Nihon University), Yasuyosi Okura (Graduate School of Art, Nihon University) |
音楽聴取により起こる記憶想起について、想起内容、音楽・記憶・気分の関係に着目し考察した。想起内容に対し、特定の楽曲聴取を行わない自由記述、想起の 原因および想起時の気分変化に対しては実際の楽曲聴取を行った。結果、音楽を構成する各要素と記憶の関係、未知の楽曲聴取による記憶想起、曲想からの影響 の性差を示唆することができた。 |
14:45 ↓ 15:15 |
音楽嗜好及び心理状態がホルモン変動に及ぼす影響 The effects of music preference and psychological condition on hormonal changes |
○福井 一 (奈良教育大学教育学部),豊島 久美子(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)久田 清人(奈良教育大学大学院教育学研究科修士課程) Hajime Fukui (Department of Education, Nara University of Education), Kumiko Toyoshima (Graduate School of Human Sciences, Osaka University), Kiyoto Kuda (Graduate School of Education, Nara University of Education) |
音楽聴取が健常被験者に与える影響を、音楽嗜好や経時変化に重点を置いて、行動内分泌学的(ホルモン)・心理学的に検証した。その結果、ホルモン(コルチ ゾル、テストステロン)の経時変化は、刺激の違い(好きな音楽、嫌いな音楽)によって有意に異なるという結果が得られらた。 |
15:15 ↓ 15:45 |
解析信号法による2声歌唱のメロディ-追跡 Melody tracing of biphonic singing by analytic signal method |
○太田 健一,村岡 輝雄,大箸 匠(武蔵工業大学),武田 昌一(平成帝京大学) Kenichi Ota, Teruo Muraoka, Takumi Ohashi(Musashi Institute of Technology), Shyoichi Takeda(Teikyo Heisei University) |
2声歌唱法に対して任意の波形の瞬時周波数と振幅を計測できる解析信号法を適用し、それぞれの特徴の解明を試みた。その結果、2声に聞こえる部分はドローンとメロディ-が全く異なる動きをする事が示された。 |
15:45 終了 |